わたくしには帰る場所がありません。
わたくしには不思議な力――人の願いを叶える力がございます。
大抵の人々はわたくしの力で破滅していきました。わたくしは一切罪悪感は感じていませんでした。しかし、だんだん心が苦しくなり、人との関わりを拒絶するようになりました。
ある日、わたくしは公園のベンチで座っていると、
「かなでじゃない! やっと見つけた!」
わたくしは振り返ると、三年前の家出ぶりに会った一歳上の姉ひびきがいました。
わたくしは涙が止まらなくなりました。拒絶されることを承知で、わたくしはひびきに自分の悩みをすべて打ち明けました。
ひびきは否定も拒否もせず、
「お帰りなさい」
と静かに強く抱きしめてくれました。