ダンジョン飯感想その2

前回の続き
ダンジョン飯について考えながら、掃除してた。
ダンジョン飯のストーリー構成についてアレコレダラダラと。
いずれリライトするかも。
以下、ダンジョン飯、ネタバレでーす!


世界観はWizardryのパロディ。
「妹をロストさせないために、モンスターを食べながら、ダンジョン攻略していくぞ」という、
あまりに、あんまりな一発ギャグ的な始まり方。
王道ゲームのギャグパロディというのは、
「魔法陣グルグル」とか昔からあるから(というか、今でも連載中)、
日本人にはかなり受け入れられやすい入り方。
というか、好きだよね。4コマ劇場とかさ。

大枠では、

ファリンを蘇生するために出発。

無事、ファリンは蘇生できたが、狂乱の魔術師の元へ行ってしまう。
ファリンを救出するため、狂乱の魔術師を倒すことを決心する。

キメラ化したファリンを人間に戻すために殺し「食べる」。

妹の「ファリン」を助けるための物語です。
最後の「ダンジョン飯」が妹ってどういうことよ? ってツッコみたいけど。
びっくりするほど、「目的」がブレてない。

その中で、スライムを食べたり、歩き茸を食べたり、絵の中のものを食べたり、
最終的には、迷宮である「悪魔」をも食べた、兄・ライオスなんだけど、
目的はただひたすら「妹」を助けるというストーリーなんですよね。
(鬼滅の刃と構図は一緒)

その中で、カブルーパーティとかシュローパーティとかカナリア隊とか、
他パーティとの交流・信頼関係を築き上げていきます。
(そして、呆れられる)

で、ストーリー構成で「wantsとneeds」というのがあって。
ざっくり説明すると、主人公が物語の最初で必要だと思ったもの「wants」と
結末で本当に必要だったと気がつくもの「needs」というものがあります。

ライオスの場合、
wants→「妹を助ける」
needs→「信頼できる人たちと出会う」
なんですよね。

悪魔との対話で、ライオスは今まで自分が向き合ってこなかった「自分」に向き合いました。
パーティメンバーをはじめとして、みんなライオスにヤバさには気がついていましたが、
ライオス自身はそのヤバさに向き合ってこなかったため、
そこを悪魔につけこまれました。
読者もですが、悪魔に言われて、ライオスはやっと目を向けるのです。
「ライオスにはファリンしかいなかった」
そして、
「人間が嫌い(だから魔物が好き)」だということに。

もちろん、マルシルやチルチャック、ナマリやシュローという頼れるメンバーがいました。
しかし、ライオスにはファリンしか信頼できる「人間」がいなかったんです。
魔物の方が興味あった、魔物のように強くなりたい。
「人間に興味がない」と評されたのはここからでしょう。
しかし、「ファリンを助ける」という目的を通じて、ライオスはとても大勢の仲間を得ました。
そして、ファリンも戻ってきました。

「大勢の仲間がいる」というのは、「人間社会」の中心にいるということ。
魔物が寄りつかない呪いがかかった悪食王ライオスは、
人間社会の中心にいなければいけない存在です。
つまり、悪魔の呪いは「needs」だったのです。
一種の祝福だとは思いますが、
「呪いってこれか~」で笑って流せるセンス、本当に好きです。

10年という長期連載にもかかわらず、全然ブレてないって、マジリスペクト。
プロットとか見てみたい。
二郎系とかスカイフィッシュとかどんな感じで思いついたのだろう。
特にこの二つ、呼吸困難になるほど笑った。
どんな風にこんな大きな世界観を作ったのかとか、本当に気になる。

いまんとこは、これぐらいかな。
マジ、名作って、ストーリー構成、勉強できる。
私もそろそろ書かなきゃなあー。