ダンジョン飯感想

いやあ。約10年追いかけて、こういうエンドかあ! と感動した「ダンジョン飯」!!
この間に大学を卒業して、転職を4回して……って、なんか自分がイヤになってきた。
まあ、それは置いておいて。13巻と最終巻が同時って、
なんて贅沢な……もっとゆっくり出してもいいのでは? と思ったけど、
こんな風に出さないといけない出し方だったね。なっとく。
以下、「ダンジョン飯」のガッツリネタバレ。


「ダンジョン飯」って、最後まで「食べることは生きること」を一貫して伝えていた漫画でした。
何故、人は食べるのか。何のために食べるのか。食べるとは何か? 欲望とは何か?
その解をライオスが導き出した物語でした。
(物語というのは、テーマというクエスチョンに主人公がアンサーを出すものだと思っています)

ライオスによって、世界が救われたという王道!
THE・RPG!!って感じ。マジ、痛快。
ラストが最初の「黄金郷」に戻るの、本当にキレイに畳まれている。
……っても、ライオスのクレイジーさで世界が滅びかけたんだった。
予定調和と言ったら、それまでかもしれないけど、
カブルーとかナマリとか、どれだけ濃いサブキャラクターがいても、
ライオスが主人公でなければ、この物語は「ダンジョン飯」にならなかったのかなと思います。
アホが主人公って、どれだけシリアスでも、こう重たくならなすぎて、いいよね。
「あ あの野郎!」と言わせる、頭のネジが外れたライオスのアホさ、
みんな理解しているの、本当にいい。
みんな、ライオス自身よりライオスのことを理解しているかもしれない。

全体的な構造として、「ファリンを助ける」からスタートした「ダンジョン飯」。
無事、ファリンを助けるも、マルシルの術失敗とシスルによって、キメラ化したファリン。
シスルを倒すために、翼獅子の力を取り戻すべく行動するライオスたちと、
エルフのミスルンが語る「迷宮の秘密」。
必死になって、シスルを倒すも、叶わぬ願いの脆弱性をつつかれ、
迷宮の悪魔によってパッパラパーになったマルシル……。
基本、ギャグ漫画なのに、謎を追いかけていく王道ファンタジーに、
ドキドキワクワクがとまりませんでした。
「一発殴らないと気が済まない」って言われる主人公、もうホントいい。

表紙にファリンがいなかったから、不安だったけど……。
キメラ部分は残ってても、無事に戻って良かった。みんな心配しているの、ホントエモい。

考えてみりゃ、この漫画、根っからの性悪なんて、一人もいないんですよね。
カブルーだって、最初こそ、いけ好かないイケメンでしたけど、
実際は故郷を滅ぼされた結果、平和を願うようになった好青年でしたし、
傲慢なエルフのミスルン隊長も、死に損なったと嘆き、
その原因となった迷宮を滅ぼすためだけに生きるおじさんで。
シスルも黄金郷を守るために、迷宮を作り、
ラスボスである悪魔も、人智を超えた認知の彼方にいるものの、
ただただ純粋に欲を人間に求めた存在でした。
最後、生き返ろうとするファリンのことを見守っていましたし……。
ライオスに「欲」を食べられた結果、興味がないって感じかしら。
ファリンと悪魔の会話は、いわゆる「あの世」で「欲」を求めるファリンと
「欲」を必要としなくなった悪魔との対比だったのかな。

主人公が王様になるって、
今時のドラクエでもやらねえよレベルの王道のラストでしたけど、
(11は元々王子なので、ノーカン)
悪魔にかけられた呪いのせいで、みんなが幸せって、本当に皮肉で最高です。
笑った。最後までライオスだった。
確かに魔物好きのライオスからしたら、二度と魔物と会えないのは、つらいよなあ。
「呪いってこれか~」の古い絵画調のライオスはズルい。
魔物>ファリンってどういうことよ?

悪魔との対話で、
ライオスは「魔物への興味」と「人間への興味のなさ」を突きつけられたわけだけど、
もうみんな分かっているから! 今更!! と思っても、
いざ、自分の心の脆弱性と向き合ったとき、それを振り払えるかと言ったら、できないのよね。
そこをつかれた感じ。
で、魔物になってしまって、「あ あの野郎!」と、その場の全員から言われるわけだけど。
って。「牧場牛」はあながち間違えてないのでは?(誤植です)

パーティリーダーとしてのライオスは、とても優秀で、
悪魔との対話前のメンバーへの指示があまりに的確だったのが、凄い。
この指示の的確さのおかげで、世界が救われたのか。
本人は滅ぼしかけているけど……。
本人の性格はともかく、人の使い方はうまいんだろうなあ。意外と王様は適職かも。

生き返ったファリン。やっぱ、あんたはライオスの妹だよ。

ヤアドが元気いっぱいで安心したよ。
おいしいものを食べてるといいな。

最後に。
リドちゃん。あんたにはもっと良い人がいるから、
いくら兄でも、ゾン族長の言うことは聞かなくて良いよ。

とりあえず、ここまで。

2023/12/27追記
続き書きました。