エピローグ

「さて、『黒谷鏡子』はどうだった?」
「なかなか具合が良かったですね。こちらの身分を明かさないって、これほど楽とは思いませんでした」
「不義理じゃないって分かったしな」
「そうですね」
「ところで、大学をやめるんだって?」
「え、なんのことでしょうか?」
「あ、教授にお前は理学部に似合わないって言われたとかそういうの、あっただろ? やめてやるーって、散々騒いでいただろうが」
「ううん……と。ええっと。あれから、しばらく考えたんですよね。わたくし自身の絶望を見て、色々と」
「ほう。それで?」
「薬学部に転部することにしました。有機化学を勉強ならこっちかなって」
「面白いじゃないか! さすが、あたしの姉貴だ!」
「ですので、しばらく、呑みには行きません。試験勉強をみっちりするので」
「了解。せいぜいガンバレよ」
「言われなくても頑張ります」
「あはっ。調子いいじゃねえか」
「そっちこそ」