リトルプレス「恩知らずの闇子さん」の反省会
印刷してから一年以上経ったので、各話それぞれとパイロット版のあとがきをしていこうと思います。ネタバレ注意です。パイロット版「恩知らずの闇子さん」その1ご覧の通り、最初はホラーだったんですよ。ホラー活劇? みたいな。最後のシーンはアドバイスを…
エッセイ 文章
エピローグ
「さて、『黒谷鏡子』はどうだった?」「なかなか具合が良かったですね。こちらの身分を明かさないって、これほど楽とは思いませんでした」「不義理じゃないって分かったしな」「そうですね」「ところで、大学をやめるんだって?」「え、なんのことでしょうか…
冷血の鏡子さん
ケース6「まんがの道程」
夕焼けがロングシートを照らす。電車の中は都会を抜けたためか、人はまばらだ。 わたしはぼうっと、その赤々とした夕焼けを見る。 ああ、きれいだわ。 真夏の太陽は人々に光を照らし、希望を与える。 それにひきかえ、どうしてわたしはこんなに何もない…
冷血の鏡子さん
ケース5「学校にて」
わたしは教卓を勢いよく叩いた。それから、生徒たちに見せびらかすように、真っ赤に染まったぞうきんを掲げる。 今時の十七の子供は繊細なのだろうか。口元を押さえながら、青ざめる女子が何人もいた。男子生徒たちは顔色を悪くしながらも、そのぞうきんを…
冷血の鏡子さん
ケース4「ぼくとお嬢のブルース」
ああー。学校に行きたくないなあ。 夏の空はとても明るいが、心はどんよりくもり空だ。 ぼくは、今、バスに乗って、郊外のショッピングモールへ向かっている。今日は平日なので、学生は誰ひとり乗っていない。いるのは、免許を返納したように見えるジジイ…
冷血の鏡子さん
ケース3「カレーライス」
気怠い暑さがオレの身体をダメにする。 暑くて、何もしたくない。エアコンを付ければ? と言われそうだが、無職のオレにそんな電気代はない。家があるだけ、まだマシだ。 以前、窓を開けてみたことがある。しかし、隣の家から流れてくる室外機の風が、オ…
冷血の鏡子さん
ケース2「我が輩は課長である」
帰宅した俺は、一日頑張ったご褒美に缶ビールを開けた。炭酸が弾ける音がする。 キンキンに冷えたビールは五臓六腑に染み渡る。この三百五十ミリリットルのために、毎日頑張っている。 第三のビールやら発泡酒やらあるが、あんなのは邪道だ。ビールが一番…
冷血の鏡子さん
ケース1「誰がために金はある」
わたしはやっとのことで就職することができた。児童福祉施設だ。夫の転勤で前の職を辞めざる得なく、新天地では主婦への就職先はなかなかなかった。 仕事が見つかったといっても、福祉の資格は何もないので、これから取らなければいけない。しかし、就職で…
冷血の鏡子さん
満月ラプソディ
1 秋口なので、流石に夕方は寒気を強く感じる。 おれは飲み干した缶コーヒーを誰もいないゴミ箱に捨てた。金属の鈍い音が響く。 カラスがうるさい。落ち込みたいのに、このカラスの鳴き声のせいで落ち込もうにも落ち込めない。「ああ。おれはここまで頑張…
小説 文章 短編
「冷血の鏡子さん」
「あれ。どこいったっけ」 私は夫からもらったピアスを探す。さりげなく揺れるエメラルドがついた小さな小さなピアスだ。大好きな夫からもらったピアス。とっておきのとき――例えば、夫とのデートの時とか――に付けようと思っていたピアス。 今日がそのデ…
wishersシリーズ その他 小説 文章 短編
サークル提出小説の反省文
私はとある文芸サークルに入っています。で、今度、サークル誌を出す予定でして。個人の同人誌だと勝手に反省文をあとがきとして書くのですが、サークル誌なので、ちょっと無理。ということで。ここに書き終わったあとに思ったことを徒然と書いていきます。書…
エッセイ
パイロット版「希望探偵エス」
オレは冬休み間近の寒空の下、走りながら大声で泣いていた。道行く人々は呆れてオレを見ているだろう。しかし、オレはそんな人たちよりも自分の苦しい心を解放させたくて仕方がなかった。冷たい空気で張り付く喉に咳き込みながら、オレは誰も会いたくない一心…
wishersシリーズ パイロット版「恩知らずの闇子さん」 小説 文章 短編